内容説明
文学紹介者としてカフカ文学に新しい光を当て続けてきた著者が、本書では『変身』を五年以上かけて新訳しながら、じっくり読んでいく。ある朝目覚めたら、虫になっていた―という設定のせいで、非現実的な不条理小説と思われがちだが、”身体で読む”達人と一緒に読めば、まるでドキュメンタリーのように迫真の、胸に刺さる場面の連続。ままならない心と体、家族とケア、居場所と権力構造といった、今日の私たちの切実なテーマが、百年以上前のこの小説に、背筋が凍るほど深く描かれている。「もぐらの視点」「見せない力」「権力の精通者」「直立することの不安」など、カフカの世界に分け入るための手がかりも、たくさん潜んでいる。清新な訳文でまた味わいたい。『変身』は今を生きる私たちの日常の物語だ。
目次
なぜ「すごくゆっくり」なのか?
現実への補助線という衝撃
カフカの「見せない力」
虫になったのに遅刻を気にするのはおかしい?
カフカの語り口と笑い
ベッドから出られない
罪悪感がやってきてベッドから出る
身体で読む文学
ドアが開かれる
どうしても受け入れがたいこと
出たとたん、追い戻される
自分の変化に食卓で気づく
グレーゴルの食卓
食べないことと飲まないこと
お金の問題
窓の大切さ
ケアの熱狂―もっと世話するために、もっと不幸になってほしい
いちばんの味方がいちばんの敵に
林檎が背中にめりこむ
家族熱〔ほか〕
著者等紹介
頭木弘樹[カシラギヒロキ]
文学紹介者。筑波大学卒。20歳のときに難病(潰瘍性大腸炎)になり、13年間の闘病生活を送る。『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)の編訳で注目を浴び、文学紹介者として活動を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
カフカの最高傑作にして20世紀最大の問題作の一つとされる『変身』を、頭から終わりまで、著者が新訳しながらつぶさに読み解いていく。
ある朝目覚めたら、虫になっていた――という設定のせいで非現実的な不条理小説と思われがちだが、〈身体で読む〉達人と一緒に読めば、まるでドキュメンタリーのようにリアルな、胸に刺さる場面の連続! ままならない心と体、家族とケア、居場所と権力構造……『変身』は今を生きる私たちの日常の物語だ。
〈フランツ・カフカの『変身』は読むたびに印象が変わる。新しい発見がある。
もう何度となく読み返してきたが、それでも、あらためてじっくり、できるだけ時間をかけて、細部までこだわって、味わいつくすようにして読んでみたいと思っていた。
それを実行したのがこの本だ。〉(「はじめに」より)
【目次】
はじめに
1 なぜ「すごくゆっくり」なのか?
2 現実への補助線という衝撃
3 カフカの「見せない力」
4 虫になったのに遅刻を気にするのはおかしい?
5 カフカの語り口と笑い
6 ベッドから出られない
7 罪悪感がやってきてベッドから出る
8 身体で読む文学
9 ドアが開かれる
10 どうしても受け入れがたいこと
11 出たとたん、追い戻される
Intermission誰が道を切り開いたのか 1
日本で最初にカフカを評価したのは誰なのか?
12 自分の変化に食卓で気づく
13 グレーゴルの食卓
14 食べないことと飲まないこと
15 お金の問題
16 窓の大切さ
17 ケアの熱狂――もっと世話するために、もっと不幸になってほしい
18 いちばんの味方がいちばんの敵に
19 林檎が背中にめりこむ
Intermission 誰が道を切り開いたのか 2
日本で最初にカフカを翻訳したのは誰なのか?
20 家族熱
21 家族につけられた傷が、家族を思って痛む
22 自分の部屋が物置になる
23 グレーゴルとベートーヴェン
24 わからないものを待っている
25 グレーゴル、見つかる!
26 燃えつきるケア
27 家族獣――グレーゴル、死す
28 「家族がひとつになる」ことの怖ろしさ
29 なぜこのラストが気に入らないのか?
注記
あとがき
主要参考・引用文献
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